2024/10/09 18:00

はじめまして!この夏、株式会社西勘堂さんでインターンシップをさせていただいていた岡本と申します。三重県出身、現在は愛知県にある大学へ通っています。


8月19日から「地域ベンチャー留学」(https://cvr.etic.or.jpという1ヶ月の滞在型インターンシップ福井県坂井市にやってきました。50以上あるプロジェクトの中から、私が選んだのは西勘堂さん。『100年以上続く和洋菓子店の想いを発信せよ!』というミッションのもと、インスタグラムのリール動画作成に取り組みました。期間中7本の動画を投稿しましたので、そちらもぜひ、ご覧ください♪https://www.instagram.com/nishikando/


リール動画を作っていくにあたり、ある課題に気づきました。それは、「60秒では西勘堂さんのこだわりを伝えきれない!」ということです。1つ1つ手作業の製造工程や、商品へのインタビューを30分も行う中で、たくさんのこだわりを感じました。しかし、それを短いリール動画に収めるのは至難の業。「もっともっと、西勘堂さんの“想い”を知ってもらいたい!」そう考えた私は、文章を媒体として発信していくことを決めました。その活動の記念すべき第1歩となります。どうぞ、温かく見守っていただければ嬉しいです。


インターンシップが始まり、まずは西勘堂さんと関わりのある農家さんを訪問しました。

西畑さんは福井の素材にこだわり、農家さんの元へ直接食材の仕入れを行っています。その背景には、「お菓子を通じて福井の自然の良さを伝えたい」「先進的で熱量のある福井の農家さんをアピールするお手伝いをしたい」という素敵な思いがあります。

訪れたのは坂井市春江にあるぶどう農園、ムーンファームさんです。


私にとって初めての農地見学でした。収穫期の忙しい時期にも関わらず、時間を割いてくださり、たくさんのお話を伺うことができました。ムーンファームの岩本さんが語るぶどうへの熱い想いに、私は深く感銘を受けました。そこから農家さんへの関心が大きく広がり、まさに私の興味の原点は岩本さんとの出会いにあると感じています。ネイルのデザインにムーンファームさんのシャインマスカットをデザインするほど、感化されました…笑



そこで、今回はムーンファームの岩本貴之さんにお話を伺いました。


Q.ぶどうを収穫するまで、どのような作業があるのですか?

岩本さん:秋の落葉期に肥料をあげるんさ。ほんで葉っぱが枯れるのを待って、冬に枝を切って剪定。2月の終わり頃からハウスを張って、堆肥を混ぜて、春先に芽吹く段階で色んな作業があるんやの。枝の管理とかをしてって、花が咲いたら種を無くす処理をしたり…。それから実ができたら粒を抜いたり房を落としたり…。1ヶ月半、長くて2ヶ月の収穫期までにやることがいっぱいあるんやの。


1ヶ月半〜2ヶ月の収穫期間に向けて、ほぼ毎日手入れが必要だということを知りました。ハウス内の明るさや、寒暖差でぶどうの糖度や色が異なってくるとのこと。木の成長度合いや、その年の天候に収穫量は大きく左右される、いわば“賭け”のお仕事をされている岩本さんの働きに大変興味を持ちました。


Q.ぶどうを育てていくにあたり、細かな手入れが必要だと感じましたが、それを続けられるモチベーションは何ですか?

岩本さん:「こんな草刈らんでもええかな」「手入れしんでもええかな」と思ってまうけど、結果は全部自分に跳ね返ってくることやでの。少しでも手を抜くと、病気や虫の原因になってまうで、手間は惜しまん。すぐに結果は出んけど、いずれ変わっていくんじゃないかなと思って…。


「家族を食べさせないといけない」、という強い思いから、一切手抜きはできないという、覚悟のようなものを感じました。私は面倒臭いことを後回しにしがちで、後々後悔することが何度もありました。そんな私にとって、「結果は全部自分に跳ね返ってくる」という岩本さんの言葉は重く突き刺さりました…。


Q.岩本さんの“葛藤”を教えてください。

岩本さん:葛藤はもう毎日やの〜。

1人で好き勝手やるのはええけど、誰かに売ってもらうてなると、流れ作業になるでしょ。そこまで思いが伝わらん部分もあるし、形になるまでに時間がかかるで、難しいよね。

あとは、値段と味が見合うのか、コストをかけて売り上げがあるのか、そこも毎日考えないかんことやの。


ムーンファームさんは直売の形式で、お客様の直接の“声”を聞くことを大切にされているそうです。この岩本さんの“こだわり”ならリピーターが多いことも納得です。

私は特に、「値段と味が見合うのか」というお話が印象的でした。自分で値段を決めて売ることができるからこそ、その点はしっかりと考えていかないといけないという岩本さんの姿勢に感銘を受けました。“稼ぎ”ももちろん重要ですが、それよりも“味”に執着し、今後も改良を続けていく素敵な考えはもっと広まるべきではないでしょうか…。


Q.西勘堂さんや西畑さんは、岩本さんの目にどう映っていますか?

岩本さん:西畑さんらは代々続いてきた伝統も受け継がなあかんし、新しいこともしなあかんってところにいるで大変やと思う。その時代に合った新しいことをするだけじゃなくて、100年続いてきていることを守っていくことは大切やでの。


「新しいことをしていくのは比較的楽だ」という岩本さんの考えに共感しました。SNSでバズりそうなものだけを作っても、お客様は長くつかない。だからこそ、素材や味にとことんこだわる西勘堂さんのお菓子。私はすっかりファンです。

104年続く老舗のお菓子屋さんが、伝統を守りながら新しいことに挑戦する姿勢、とても素敵だとインターン期間中に気づくことができました。


Q.自分が育てたぶどうが西勘堂さんで商品になっていることにどのような思いがありますか?

岩本さん:やっぱりなんか、不思議な感じやの。

でも、ケーキの甘さにぶどうが負けているような気がするんやの。やっぱり自分の理想の味にはまだまだ辿り着いてなくて、ケーキに合うぶどう作りをこれからしたいの〜。


「ケーキの甘さにぶどうが負けている」という衝撃発言…。インターン期間中、岩本さんのシャインマスカットを使用したショートケーキをいただきましたが、全くそんな風には感じませんでした。むしろ実が大きく、ぷりっとした歯ごたえのあるマスカットの甘さに驚きました。やはり岩本さんはどこまでもストイックなお方だと感じた瞬間でした。



スーパーに並んでいる青果品は、学生の私にはちょっぴり高いと感じてしまうのが本音です。しかし、今回のインタビューを通じて、ぶどうが出荷されるまでにどれだけの手間やコストがかかっているのかを知り、考えが変わりました。特に、枝の剪定や袋かけなど、1つ1つの作業が丁寧に行われ、毎日の積み重ねで高品質なぶどうが作られていることに気づきました。

また、「他力より自力」という岩本さんの言葉がとても印象的でした。全ての行動が自分に跳ね返ってくるという責任感があるからこそ、手を抜かず、ストイックに向き合う姿勢は本当にかっこよかったです。私も何事にも全力で向き合い、岩本さんのように1つのことに情熱を持って取り組める人間になりたいと心から思いました。



最後に、ムーンファームさんのシャインマスカットを使用した西勘堂さんの商品をご紹介いたします。

インタビュー中にも出てきた、“シャインマスカットショート”♡


シャインマスカットの濃厚な甘みと、生クリーム、柔らかい生地との相性が抜群です。溢れ出す果汁をぜひお楽しみください。

西勘堂本店と、アミ店で販売中です♪


そして、今後はムーンファームさんのぶどうを使った“レーズン”を活かした新商品が登場予定です!砂糖やお酒を一切使わず、そのままドライにすることで、凝縮された自然の旨みがぎゅっと詰まったレーズンが完成。前回も大好評だったレーズンサンドに加え、今回新たな商品が増えるかもしれません…!詳細は後日発表となりますので、お楽しみに…♡


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

今回のインターンシップを通して、地域の農家さんの熱い想い、そしてそれを大切にする西勘堂さんの姿勢に多くの学びがありました。短いリール動画では伝えきれなかった“こだわり”を、こうしてブログを通じてお伝えする機会をいただけたこと、心から感謝しています。

西勘堂さんのインスタグラムや店舗にも、ぜひ足を運んでみてくださいね♪